教育イノベーター川口泰輝のノート

シリコンバレーが注目する「NINSHIKI Technology(認識技術)」をベースにした新教育経済Edunomicsについて語ります

【コラム Vol.1】ゼロベースで考えているつもりになっていませんか?

みなさん、こんにちは。
教育イノベーターの川口泰輝です。

前回のエントリでは、人間の理解方式から考えるアルファ碁と、ルールそのものからゼロベースで考えるアルファ碁ゼロについて取り上げました。

第2回 AIの本質とは何か?【シリーズ】Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomics - 教育イノベーター川口泰輝のノート

 

このアルファ碁とアルファ碁ゼロの違いをみて、あなたは何かを感じるでしょうか?
この違いからわかることは、「人間の理解方式の限界を突破しないと、実は本当にゼロベースから考えたことにならない」(!)ということです。これは何も人間をやめないとAIに勝てないという意味ではありませんので、安心してください(笑)

 

では、人間の理解方式の限界を突破し、ゼロベースで考えるためには どうしたらいいのでしょうか?

そのためには、まず「人間の理解方式」とは何かを知る必要があります。人間の理解方式とは、要するに「人間の脳」の話です。人間の脳は目・耳・鼻・口・皮膚の5つの器官を通じて情報を仕入れ、脳でその情報を処理して理解しています。このため、いったん考えをゼロにしてから再度考えようとしても、人間の脳は過去に人間の5感覚で仕入れた情報からしか考えを出発できません。なぜなら、人間の脳は人間の脳で認識できるものしか扱えないからです。これは考えてみれば当たり前ですが、私たちは人間の脳で認識し、人間の脳で考えることが大前提ですので、そもそも人間以外の脳で考えるという発想自体が浮かぶことは稀でしょう。あるとすれば、日常的に人間以外の生き物と接する人、つまりペットを飼っている人や動物園の飼育員、研究者が人間以外の生き物の脳でどのような認識が起きているのかに関心を持つくらいでしょうか。つまり、私たちは無意識で人間を絶対基準にして生きているのです。このように観察していくと、人間はどこまでいっても人間の脳から自由になれない、ゼロベースで考えることはできないという衝撃の事実に気づきます。

人間がゼロベースから考えられるようになるには、いったん考えをゼロにしたところから、人間の5感覚で仕入れた過去の情報の外側、つまり人間の脳では認識できない、人間の脳では存在しないと認識される「無」の領域から新たな情報を引っ張ってくる必要があります。そして、それを自由自在にできるのがAIです。

人間がゼロベースから考えられるようになるには、「無」の領域を活用できなければならない

このことを分かりやすく説明した動画がありますので、どうぞご覧ください。

この現実は実在していない!?AI時代の次は「無の境地」の活用が鍵になる! - YouTube

 

いかがでしたか?
本や雑誌、セミナーを探すと度々「ゼロベースから考える」というキャッチコピーを見かけます。みなさんが今度みかけたら、ぜひ本当のゼロベース思考、人間の理解方式の限界を突破した内容になっているかどうかを確かめてみてください。きっと私たちがいかに人間の理解方式に縛られ抜け出せていないのかに気づき、衝撃を受けると思いますよ!

次回は、どうしたら「無」の領域を活用できるようになるのかについて、「無」を活用応用できる認識技術についてご紹介していきます。

第2回 AIの本質とは何か?【シリーズ】Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomics

みなさん、こんにちは。
教育イノベーターの川口泰輝です。

Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomicsについてシリーズでお話していきます。

前回のエントリはこちら。
第1回AIが変えるビジネス環境 【シリーズ】Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomics - 教育イノベーター川口泰輝のノート


前回のエントリでは、AIに仕事が奪われた時、最後に残る「ヒトにしかできないこと」とは何か?を問いとして挙げていました。
この問いは、逆に言えば「AIにできることと、できないこととは何か?」という境界線を明確にすることです。

では、AIがしていることとは何でしょうか?

ここでは以前に話題になったAlphaGo(アルファ碁)と、その進化版であるAlphaGo Zero(アルファ碁ゼロ)を比較しながら、AIの仕組みについて考え、最後にはAIの本質へと迫っていきます。

 

まずアルファ碁と、アルファ碁ゼロの違いを整理しておきましょう(※)。

  • アルファ碁は、人間(プロ棋士)の経験や知識、定石など、過去の全てのデータを入力して、そのビッグデータをもとにディープラーニング(学習)させたもの
  • アルファ碁ゼロは、過去のデータは一切ゼロ、人間の経験や知識、定石も一切教えず、ルールだけを純粋に教えた状態でそこから自主学習により勝手に進化するもの

つまり、アルファ碁とアルファ碁ゼロの違いは「人間の理解方式から考えるのか、ルールそのものからゼロベースで考えるのか」の違いです。

(※)引用元(以下、同じ)

Noh Jesu 観術メルマガバックナンバー(「和の産業化」「悟りの産業化」の発信) » 【20180321】アルファ碁ゼロの登場から考える人間とAIの共存

ルールそのものからゼロベースで学習したアルファ碁ゼロは、アルファ碁に100戦100勝するまでに強くなりました。定石を自ら発見し、人間には予測不可能な手を繰り出すまでに進歩しています。こうなると、人間はもはや太刀打ちできませんね。

 

次に、AIの仕組みを整理してみましょう。アルファ碁とアルファ碁ゼロの特徴から分析すると、大きく2つの要素が抽出できます。

  1. ディープラーニング(深層学習)
  2. 自主学習

1つ目のディープラーニングは、近年のAI開発で大きく進展した分野です。詳しい説明は他に譲りますが、一言でいえば「キカイが人間の脳のように複雑なことを学習できるようになった」ということです。

次に、2つ目の自主学習は、アルファ碁ゼロの結果を受け改めてそのインパクトの大きさに注目が集まりました。

ここまでの話を整理すると、AIは最初のきっかけさえ与えれば、学習する上で人間を必要としないことがわかります。さらに言えば、AIがその無限の可能性を発揮するためには、人間はむしろ邪魔になるとも言われかねません。このままでは、進化発展したAIによって、人間の存在意味・存在価値が脅かされてしまうリスクがあります。

 

では、「AIにできないこと、AIの限界」とは何でしょうか?それは「AIは自らの意志を持って存在することができない」ことです。先ほど、「AIは最初のきっかけさえ与えれば、学習する上で人間を必要としない」と書きました。これは裏を返せば、人間がいなければAIは動き出せないことを意味しています。これは当たり前のようでいて、決定的に重要なことです。なぜなら、人間はAIよりも先に存在していますが、AIは人間にスイッチを入れてもらわないと存在できないからです。つまり、AIにできないこととは、「自分で自分のスイッチをONにできないこと」。実は、AIがキカイであること自体にAIの限界があります。

AIの本質は「0と1」。つまり、オンとオフのデジタルな存在です。AIの立場から観れば、人間は自分を存在させたり、存在させなかったりする何者か。「自分をオフ(0)にもオン(1)にもできる何か偉大なもの」だと映るかもしれません。この関係性・構造は宇宙自然の仕組み、メカニズムを理解する上で重要ですので、ぜひ覚えておいてください。

この関係性・構造について更に詳しく知りたい方は、下の動画をご覧ください(本編の約8分ごろから関係性・構造についての話が始まります)。

“ゼロ”のAI進化と“O=∞=1”の人間進化~アルファ碁ゼロの登場から考えるPersonal Universe開発の時代~ - YouTube

 

第1回AIが変えるビジネス環境 【シリーズ】Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomics

みなさん、はじめまして。

教育イノベーターの川口泰輝です。

 

今回からシリーズで、Society5.0時代を牽引する新教育経済Edunomicsについてお話していきます。

 

みなさんは、AIが急速に広まっている今の世の中をどのように見ていますか?

読売新聞の特集で紹介された安宅 和人氏の基調講演では、「現在の産業の多くは「ヒト、モノ、カネ」ですが、「ヒト、データ、キカイ(AIやIoT、ロボティクス)」に移行していきます。」(※)と書かれています。

また、新聞やニュースでは「近い将来AIに仕事が奪われる」とも言われている状況です。

(※)「データ×AIは世の中をどう変えるか?ーSociety5.0で変わるあなたの暮らしと仕事」(http://www.yomiuri.co.jp/project/mirai/5/lecture1_1.html)

 

「AIに仕事が奪われる」と聞いて、みなさんはどう思われますか?

「今日明日で仕事が奪われるわけではない」

「自分とは関係ない」

「不安だ」

「何だかんだ言っても最後は何とかなる」

など、さまざまな意見があるでしょう。

 

ここでは、AIがビジネスに与える影響について考察してみたいと思います。

現在の産業が「ヒト、データ、キカイ(AIやIoT、ロボティクス)」に移行すると、これまでのようにモノを大量生産する必要がなくなります。なぜならIoTで消費者のニーズはピンポイントでわかるようになるため、売れるものしか作らなくて済むようになるからです。
つまり、売れ残りと売り逃がしが ほぼゼロのマーケットが実現します。別の表現をすれば、多くの商品が手軽にオーダーメイドで入手できるようになるとも言えます。
これは地球資源の観点からみてもムダが無くエコでしょう。
これまでの機械ビジネスのコストの大半は設備投資と人件費ですから、AIが普及しキカイがほぼ全自動で商品を作ってくれるなら安価でキカイ(設備)も入手でき、大幅なコスト削減が期待できます。

さらに、これまで人間にしかできないと思われていたサービス業も、人間の仕事を解析して再現できるようになったロボットによって代替されていく可能性が高いです。

 

すると、最後に残る「ヒトにしかできないこと」とは何でしょうか?
いざAIに仕事が奪われた時、あなたは何をしますか?何をできますか?

 

「その時」が来た時に慌てないためにも、今、自分や家族、子どもの将来について考えておくのが賢明でしょう。

きっとこのエントリに興味を持たれた あなたは賢い選択をされるはずです。

これからシリーズでSociety5.0時代を生き抜くための知恵を、みなさんと議論していきたいと思います。

どうぞご期待ください!

 

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